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いつクリはてブロ

いつになったらクリエイティブするの?

最近特に印象に残った演出の効果

雑記 考察

作中で何かを説明・描写するときに一工夫することで、ただの説明に留まらず様々な副次的効果を生じさせることができる。
映画やゲーム、ドラマ、アニメ、小説などを読んでいるとそういう演出の妙に出会うことがあり、それに気付くたびに少し嬉しくなる。
最近触れた作品で印象的だった演出を3つほどまとめてみようと思う。

1.映画『ハリー・ポッターと炎のゴブレット

ハリー・ポッターシリーズ4作目。
他のシリーズと同様この作品も新学期から始まり、「闇の魔術に対する防衛術」担当の教師としてマッド-アイ・ムーディが着任する。
目がグリグリ動くアイパッチなど、見た目からして今回の黒幕感に満ちており、また生徒たちの噂として「少々気が狂ってるらしい」という情報が視聴者に提供される。
さらに不気味さを強調する演出として、ムーディが定期的に懐から小瓶を取り出しグビグビ飲み、これを生徒たちが「あれ何飲んでるんだろ」と怖がるというシーンがある。
初めて見たとき、私はこれをただの不気味さの演出だとしか思わなかったのだが、終盤になるとその正体が明かされる。
改めて全体を観直すと、何度か「何を飲んでいるのか」を示唆するシーンが含まれているのに気付く。
初回では全く気付かなかったが、知った上で観るとしつこいくらいである。
しかもこれ、シリーズでちらほら出てくる定番アイテムなのだ。
伏線が不気味さを畳み掛ける演出に紛れ込まされていたせいで伏線と認識できなかった。鮮やかな手口である。

2.NUMB3RS シーズン2 17話『マインド・ゲーム

NUMB3RSは、FBIの捜査チームのリーダーである兄ドンと、大学教授で自分の専攻である応用数学を用いて兄の捜査を助ける弟チャーリーの兄弟を主人公とした刑事ドラマである。
難解な事件を数学の力で解決に導くというのが本作のテーマであるが、この回には捜査の協力者として霊能力者クラフトが登場する。
チャーリーはイカサマだとまともに取り合わないが、チームメンバーである刑事メーガンが、自分しか知り得ない(それでいて他人に知られたくない類の)過去をクラフトに言い当てられ、気分を害しながらも霊能力に関しては信じざるを得なくなっていく。
そこでは、メーガンが4姉妹の末っ子で、男の子として生まれることを期待されていたせいで男の子のように育てられ、それが原因で父親と疎遠であることが視聴者に明かされる。
それまでに、メーガンは聡明でありながら勇敢な人物として描かれている。
護身術の達人で、犯行現場に突入する際も自ら先陣を切ったりする。
ある意味で作品テーマに真正面から衝突する人物に、主要人物の設定を語らせるという大胆な手法である。
語られる内容自体は大した情報ではないが、彼女のパーソナリティを裏打ちすることで、視聴者はより作品への没入感を深めることになる。
登場人物の情報は多ければ多いほど深みが増すが、下手な方法で説明しては効果は薄い。
面白い作品はそういうところもかなり考えられて作られていて感心するばかりだ。

3.XCOM: Enemy Unknown

XCOMはシミュレーションゲームで、プレイヤーは地球で悪さを働く宇宙人から地球を守る国際組織の総司令官を務める。
宇宙人が市街地に現れると、プレイヤーは4~6人で構成される特殊部隊を派遣し、彼らを操り宇宙人を倒すことになる。
宇宙人は超越的テクノロジーによって作られた武器を持っており、プレイヤーの操作が悪ければ隊員は容赦無く戦死する。
大抵のミッションはそのエリアの宇宙人を全て倒すとクリアとなり、部隊は専用機で基地に帰還するのだが、その際に輸送機が空を飛んでいるだけのムービーが5秒ほど流れる。
繰り返すが、輸送機が空を飛んでいるだけのムービーである。
しかし、プレイヤーはそこに戦闘の余韻を見出すのである。
ボロ負けしてたくさん戦死者を出したミッションでは、輸送機の背中が哀愁や敗北の色を濃厚に滲ませたように見える。
逆に大成功を収めたミッションは、その輸送機の中での隊員たちの喜びが目に浮かぶようである。
どの場合も同じムービーが流れるはずだが、プレイの結果によって不思議と全く違って見える。
このムービーはプレイヤーに何の情報も提示してはいないが、ほんの数秒のムービーを挟んで余韻に浸るタイミングをプレイヤーに与えるだけで、プレイ感はぐっと変わる。
ゲームのムービーというと、ゲームに慣れてくると(慣れてなくても)余計なものという印象があるが、XCOMは全編においてムービーの挿入の仕方が秀逸であり、40時間ほどプレイした今でも私はムービーをオフにしていない。


そういう意図でやったのかどうかは分からないが、もしこれらが意図した通りであったら、私は見事に踊らされていたということだ。
なかなか真似しようと思ってもできるものではないが、参考にしていきたい。