はじめに
この記事では、『XCOM: The Board Game』のゲームの流れをひと通り簡単に説明していく。
このゲームはPCゲーム『XCOM: Enemy Unknown』をボードゲーム化したものである。PCゲーム版をやったことがある人はこのゲームにも入り込みやすいだろうし、より楽しめるだろう。もちろんそうでない人も楽しめるので安心してほしい。*1
セットアップ
プレイヤーたちは地球に攻めてきた宇宙人に対抗する国際秘密組織「XCOM」のリーダーである。地球を守りつつ、機を見て反攻作戦を行い、宇宙人を地球から追い出すことを目指す。
このゲームはプレイヤー同士が対戦するのではなく、『パンデミック』などのように一致団結し、地球人の勝利を目指す。
プレイヤーは4つの役職のどれかに就き、それぞれの担当するタスクをこなす。
役職には次のようなものがある。
COMMANDER
コマンダーは資金の管理と、大陸上空に現れたU.F.O.の迎撃を担当する。
CENTRAL OFFICER
セントラルオフィサーは、専用アプリ(後述)の読み上げと、人工衛星の管理を担当する。
CHIEF SCIENTIST
チーフサイエンティストは、技術の研究を担当する。
ゲームスタート
このゲームには大きく二つのフェイズがある。まずタイムドフェイズが行われ、次にレゾリューションフェイズが行われる。その後いろいろリフレッシュして、次のタイムドフェイズが始まるといった具合である。
タイムドフェイズ
タイムドフェイズは、アプリが指示する情報に従って、各プレイヤーがどうするか判断するフェイズである。具体的には以下のような感じである。
「コマンダー! 評議会から11クレジットが提供されました!」
「U.F.O.が南米、オーストラリア、衛星軌道上に1機ずつ出現しました!」
「基地にエイリアンが襲撃しに来ました! 防衛のため隊員を派遣してください!」
「チーフサイエンティストは研究ライン2の研究科目を決定してください!」
こういった情報が次々にアプリに表示される。これには時間制限があり、時間切れが起きると強制的に次の項目に進んでしまう。*2
ちなみにこれを延々読み上げるのはセントラルオフィサーの役目である。タイムドフェイズの間はほぼ喋り倒さなければならないが、タブレットやノートPCを片手に状況を読み上げるのは映画やアニメのようでなかなか楽しい。
タイムドフェイズで、戦闘員(隊員)や研究員、迎撃機、人工衛星を配備する。
これらはいちいち金がかかるので、コマンダーは常に資金とユニットの数に気を配らなければならないし、コマンダー以外はどれくらい予算を使ってもいいかコマンダーに尋ねなければならない。
ちなみに多くの場合、研究予算が犠牲になる。
レゾリューションフェイズ
レゾリューションフェイズは、タイムドフェイズによって決められた内容に従って判定を行い、タスクを処理していくフェイズである。タスクには、研究の判定、衛星軌道・各大陸上陸のU.F.O.撃墜判定、基地防衛・ミッションの攻略判定などがある。
また、予算の執行と迎撃機・隊員の購入がレゾリューションフェイズの最初に行われる。
余った予算は次のターンに持ち越せないので、使い切ることを目指す。
なお予算が足りなかった場合、大陸のパニックレベルが上がる。
各判定には専用のダイスを使用する。
青いダイスはXCOMダイス。XCOMのマークが出れば1回分の成功である。
赤いダイスはエイリアンダイス。普通の8面ダイスで、小さな目が出ると失敗扱いである。
XCOMダイスは隊員や迎撃機の数によって決まる。エイリアンダイスは常に1つである。
これらを一緒に振り、XCOMマークを数える。
ダイス判定は追加で好きなだけ行えるが、その度に脅威(threat)レベルが1上がる。
エイリアンダイスが脅威レベル以下の目を出すとタスク失敗となり、参加している隊員や迎撃機が全滅する。
1回目の判定はエイリアンダイスで1を出さなければ失敗しないが、4回目の判定では4以下を出すと失敗となってしまう。
研究
エイリアンの技術を研究し、判定に成功すれば獲得することができる。
技術カードがあれば、予算が増えたり、U.F.O.やエイリアンを追加で倒したりすることができるようになる。
宇宙人は基本的に物量で攻めてくるので、技術をたくさん研究してダイスを増やしたりダイスを振る前に成功させたりすることがこのゲームの基本戦略となる。
衛星軌道・大陸上空のU.F.O.の撃墜
タイムドフェイズで襲来したU.F.O.を撃墜する。衛星軌道上のU.F.O.は人工衛星が、大陸上空のU.F.O.は迎撃機が相手をする。
ゲーム序盤はこんなものだが(赤いのがU.F.O.フィギュア)、
逃したU.F.O.は次のターン以降も残るので、終盤はとんでもない数のU.F.O.が地球を覆い尽くす。
迎撃に失敗したU.F.O.の数だけ、その大陸のパニックレベルが上がる。パニックレベルはイエロー(1~5)、レッド(6~8)、オレンジ(9)の三段階があり、6つの大陸のうち2つがオレンジに達するとゲームオーバーである。
ちなみに何故かアジアとヨーロッパは別の大陸扱いであり、南極大陸を含めずに6大陸である。
セントラルオフィサーが持つ人工衛星は全部で8つ。衛星軌道上のU.F.O.の迎撃の他に、U.F.O.を任意の大陸か衛星軌道上に誘導することができるので、迎撃機の配置と合わせて工夫すればパニックを最小限に抑えられる。
衛星軌道上のU.F.O.は、撃ち逃すと次のタイムドフェイズの最初に各大陸に下降していくので、できるだけ倒した方が良いが、直ちに被害は無い。
ルールの読み間違いで、衛星軌道上に残ったU.F.O.の数だけ、一番パニックレベルの低い大陸から順にパニックレベルが1ずつ上がる模様。救えたと思った地球が実は救えていなかった可能性がある。ナムサン!
なお、各回のセントラルオフィサーによると、人工衛星の攻撃は何故か失敗判定が出やすく、U.F.O.撃墜は難しいらしい。
基地の防衛とミッション攻略
スクワッドリーダーは、タイムドフェイズで配置した隊員たちを指揮して、エイリアンに立ち向かう。
基地には毎ターン最大3体のエイリアンが襲撃してくるので、ダイスを振ってエイリアンの戦闘判定を行う。
基地防衛の際エイリアンを倒し切れず残してしまうと、基地がダメージを受ける。基地のダメージが限界を越えるとゲームオーバーとなる。
また、隊員は各大陸のミッションに派遣することもできる。ミッションは無理に進めなくてもデメリットは無いが、攻略に成功すればその大陸のパニックレベルが下がるし、隊員を無料でもらえたり、研究を無料で進めたりできるなどの恩恵がある。
なお、倒したエイリアンの死体は研究の際に使うとダイスがひとつ増える。
ファイナルミッション
何ターンかゲームが進むと、アプリが「ファイナルミッション」の解禁を指示する。ボード上に裏向きに置かれたファイナルミッションカード*3を表向きにする。ファイナルミッションは通常のミッションと同様に隊員を派遣することができる。ファイナルミッションを攻略することができればゲームクリア、地球人の勝利である。
感想など
最初は要素が多く時間制限もあり難しく感じるが、基本的には各ターンの動きは同じだし、極端に言えばコマを置いてダイスを振るだけなので、思ったよりも難しくない。他のプレイヤーも、1ターンや2ターンも進めればほぼ支障無くプレイできた様子。
全員慣れていれば、プレイ時間は1時間半〜2時間程度である。
本体もアプリも日本語版が無いので、地球を救うためにはある程度の英語力が求められる(言語依存指標は3)。カード類はシールを貼るなどで日本語化できなくもないが、アプリはどうにもならず、単語(用語)の対応という観点からもシールを貼らない方が良さそうだ。
コンポーネントは、U.F.O.と隊員、迎撃機のフィギュアが付属しており、それらを世界地図上に配置していくので非常にそれっぽい雰囲気が出る。
皆でワイワイコミュニケーションを取りながらダイストレイを覗きこむゲームで、宇宙人の激しい侵攻に耐えながらも勝利を達成したときの喜びはとても大きい。
ダイスを何度もジャラジャラ振るという意味では、『キング・オブ・トーキョー』と似たプレイ感がある。
じっくり考えるよりも、パっとその場で判断してあとはダイスに祈るゲームなので、そういったタイプのボードゲームが好きな人には特におすすめである。