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ヴぃ原雄山はゲームのどこにキレているのか その1 そんな乱数は20世紀に捨ててこい

最近、ゲームをやっていて気に食わないことがあるとヴぃ原雄山を名乗りながら「このゲームを作ったのは誰だあ!」とブチ切れることが多くなった。特に昨日と今日は2日連続でゲームにキレてしまって、流石にちょっとキレ過ぎかなと思っていたところに、「ゲームに限らず我慢が出来なくなってきているのでは?」と心配された。そこで、あくまでゲームに憤慨しているのであってその他はそうでもないこと(そうですよね?)を示すためにも、今回は具体的にどういった時にゲームに怒りを覚えるのか言語化していきたいと思う。
ちなみに、我慢ができなくなる、イライラすることが増えるなどは脳の前頭葉の働きが老化によって弱くなることに起因していて、それは個人差もあるが早くて40代から始まるそうです。まだそんな歳じゃないよ。

洗練されていなさ

集約すると、自分はゲームの洗練されていなさを目にした時に最もストレスを感じる。コンピューターゲームの歴史は少なくとも40年以上になり、そのうちコンピューターの発達により表現したいものがおおよそ全て実現できるようになったのは大体2000年頃。それよりこちらの20年は、いかにプレイヤーを楽しませるか洗練に洗練を重ねた20年だった。
ところが、その20年の間に先人たち(というほど過去の人々でもないが)が丁寧に削ぎ落としてきたものが、何故か2021年のゲームにも混じっていることがある。これこそが自分が頭に来る一番の理由である。それは20年の間に感性を磨いて来なかった鈍感さの発露であり、先人たちへの侮辱を意味するからだ。

個人的に感じることの多い「洗練されていなさ」は、以下についてだ。

そんな乱数は20世紀に捨ててこい

具体的な例を出そう。『マジック・ザ・ギャザリング』(以下、MtG)は1993年に発売された世界初のデッキ構築型カードゲームで、驚くべきことに28年経った今でも3ヶ月ごとに新しい拡張パックが発売されている。世の中が世の中なので、誰かと面と向かって遊ぶ機会はめっきり減ってしまったが、幸いなことに『マジック・ザ・ギャザリング アリーナ』というネット対戦ソフトが公式からリリースされているため、最近は毎日遊んでいる。

毎日土地でキレている

このゲームの一番の不満は、何と言っても土地システムである。このゲームは、1ターンに1枚土地カードを増やすことができ、その土地の総数によって使えるカードが増えていく。例えば土地が3枚あれば、3マナのカードか、あるいは1マナのカードと2マナのカードの2枚を使うことができるといった具合だ。ところで、この土地カードは多くても少なくてもいけない。少なすぎるとカードを使えず、土地カード自体は何もしてくれないため土地ばかり引いても負ける。なので、最初に配られる手札に土地が1枚も無かったり、ゲームが始まった後1ターンに1度引けるカードが5ターン連続で土地だったりした場合は、基本的にゲームに負けることになる。これはプレイヤーが悪いのではなく、プレイヤーの運が悪いのが悪いのでもなく、ゲームシステムが悪い。

後続のカードゲームは

後続のカードゲームは様々な方法でこれを回避している。たとえば、土地でなくどんなカードでも土地のようにマナの発生源として良い(ただしそうしたカードは本来のカードとしては使えない)というシステムは多くのカードゲームで見られる。最も分かりやすく端的なのは、2014年にサービスが開始された『ハースストーン』である。ハースストーンでは、単に1ターンに1つずつマナの総数が増えていく形になっている。1ターン目は1マナ、2ターン目は2マナ、10ターン目は10マナまで使えるということだ。これはMtGの「最初は小さな、後半には大きな効果のカードが使える」というMtGの理想のゲーム展開を非常にシンプルな形で実現している。

MtGの改善1:マリガンルールの変遷

一方、MtGもただ手をこまねいていたわけではない。「土地を引きすぎても引かなすぎても負ける」という問題は、最初に配られる手札7枚の引き直しルール(マリガンと呼ばれる)によって改善が図られてきた。以下がその過程である。

  • 発売当初〜1997年:最初の手札7枚がすべて土地か、土地が1枚もない時、1回だけ手札を引き直すことができる。
  • 1997年〜2015年:最初の手札が気に入らなければ、引き直すことができる。何回でも行えるが1回行うごとに引ける枚数が1枚減る。1回マリガンを行うと6枚、2回目は5枚しか引けない。
  • 2015年〜2019年:基本的なルールはこれまでと同じだが、1回でもマリガンを行った場合、山札の1番上を見て、そのままにするか山札の一番下に置くかを選ぶ。
  • 2019年〜現在:最初の手札が気に入らなければ、引き直すことができる。何回でも行えるが、7枚のうち、マリガンを行った回数だけカードを山札の下にカードを置く。例えば2回マリガンを行った場合、7枚のうち2枚を山札の一番下に置き、5枚の手札でゲームを始める。

97年から19年まで行われていたマリガンと現在のマリガンを比べると、ゲーム開始時の手札の枚数は同じだが、現在のマリガンでは自分の手札を取捨選択できるようになっている。

MtGの改善2:占術

また、マリガンだけではなく、ゲーム全体を通しても、運の良さ悪さだけで勝敗が決まらないための仕組みが導入されている。その中で最も大きいのが「占術」という効果だろう。占術は、「山札の上からX枚を見て、好きな順番に並べ替えて、山札の上か下に置く」という効果である。占術3なら、3枚のカードA、B、Cを見て、C、Aの順に山札の上に置き、Bだけ山札の下に置く、などの操作ができる。通常は1ターンに1枚ずつカードを引くので、次のターンにはC、その次にAを引くことになる。
占術によって、次のターンに引くカードが分かった上で今の行動を決められるようになるだけでなく、例えば5ターン連続で土地を引いて負けるといったことも回避できるようになった。占術は、かつては拡張パックによって時々見られるだけだったが、2015年からは全ての拡張パックに占術を持ったカードが入れられるようになり、多くのプレイヤーが日々何らかの形で占術のお世話になっている。

すべてはプレイヤーのために

マリガンも占術も、本格的に導入されたのは2015年で、これはハースストーンのリリースと無関係ではないと個人的には考えている。ハースストーン以降、ネット対戦カードゲーム(DCG、デジタルカードゲームと呼ばれる)が隆盛著しいが、それに対しMtGがキャッチアップを図ったのだろう。
これらの改善は、「運要素の軽減」「納得感」の2点に集約される。運による振れ幅をできるだけ小さくし、もし運が悪かったとしても、マリガンで手放す手札を選んだり、占術を行ったりするなど自分が介入する要素があれば、「これをやってダメだったからしょうがない」と諦めもつけやすい。ネット対戦の実現によって時と場所を選ぶ必要がなくなったため、対戦回数が増え、その分こういったプレイヤーの感情に寄り添う必要に迫られたのだと考えられる。
もちろん、TCG以外の、たとえばボードゲームにおいても、ランダム性を扱う際には上記の2点は重視されるし、自分もゲームを作る際に気を配っている。せっかく集まって遊んでいるのに、ただ運が悪いだけで負けたのではあまりに悲しいからだ。

ところが、1人で遊ぶコンピューターゲームにおいては、そこまでプレイヤー感情を気にする必要が無いからか、まだまだ「ただ運が悪いだけで負ける」ことが多いように思う。例えば1年目から夜ふかし気味に2回なったり、せっかく全てがうまくいってURAファイナルも余裕で優勝したのに因子がゴミだったりといったことだ。聞いてるかサイゲームス
ウマ娘プリティダービー』は、キャラが可愛く、シミュレーションゲームとガチャによる集金を一体化させたシステムとして『アイドルマスターシャイニーカラーズ』からさらに一歩進め、リリースを3年延期しただけあって素晴らしい出来である。しかし、周回しても☆3因子が全然出ない、周回してる最中もプレイヤーが一切悪いことをしていないのにバッドステータスになるなど、令和のゲームとは思えないランダム性の使い方をしており、私はそれに耐え切れずやめてしまった。ごめんよカレンチャン……。

結論はこうである。
運の良さに左右されるゲームは20世紀に捨て置くべきだ。運要素はそこそこに、可能ならプレイヤーに選択・操作させて運の悪さを感じないように誤魔化すべきだ。

女将を呼べ!

本当になんで??

そういうわけで、次回に続きます。