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いつになったらクリエイティブするの?

今だからこそ『ゼルダの伝説 ムジュラの仮面』の面白さを皆に知ってほしい

 vivit_jcアドベントカレンダー4日目の記事です。

 『Nintendo Switch Online + 追加パック』にて、いくつかのゲームが遊べるようになりました。その中には、今でも名作として語り継がれる『ゼルダの伝説 時のオカリナ』(以下、時オカ)があり、私も今月に入って少しずつ遊んでいます。しかし、自分が一番好きなゼルダ作品は『ムジュラの仮面』(以下、ムジュラ)の方なんです。
 『時のオカリナ』と比べてイマイチ影の薄い『ムジュラの仮面』。まあ正統派続編ではなく外伝的存在なので、当然といえば当然なんですが。時オカはやったことあるけどムジュラは無い、という人も多いのでは?
 今回の記事では、ムジュラの好きなところをまとめました。『Nintendo Switch Online + 追加パック』にも今後追加される予定なので、自分もやってみようと思ってもらえたら幸いです。

時オカというしっかりした土台の上に作られている

www.nintendo.co.jp
3DS版としてリメイクされた際の記事。めちゃくちゃ面白いので是非ご一読を。


 元々ムジュラは「時オカの3Dモデルを再利用すれば短期間でもう1本出せるのでは?」ということで制作が開始されたという経緯があります。言うまでもなく、3Dモデルだけでなく「3Dでゼルダを作る」というノウハウがかなり蓄積された上で作られたのがムジュラなので、時オカよりも手触りがかなり洗練されています。なので、一周目を遊んだ時に感慨深かったのは時オカの方なのですが、何周もする時に心地よいのはムジュラの方なんです。*1

ゼルダの定番ストーリーから解放されているので結構好き勝手している

 『時のオカリナ』や『風のタクト』、そして『ブレスオブザワイルド』など、そのハードで最初に出る作品は、「魔王ガノンガノンドロフ)のせいで世界が大変なことになりそうなのでゼルダ姫と協力して何とかする」という大まかなストーリーが決まっています。一方で、そうでない作品もいくつもあって、ムジュラはその中でも一際奇妙な設定になっています。外伝の位置付けでなければ「3日後に月が落ちてきて世界が滅ぶので3日を繰り返してなんとかする」なんていう話にはできないでしょうし、ゼルダ姫やガノンドロフなど最上級の重要キャラを出さなくて済むことで、ストーリーの自由度がとても上がっているように思います。

3日間を繰り返すというゲーム体験

 ゼルダシリーズの素晴らしいところは、キャラクターがみな生き生きとしていて、世界の中で生活していると感じられることです。しかし、ひとつ不満があって、「このイベントをもう一度見たい」と思っても、それを叶えるにはセーブデータを消して最初からやらなければならないということです。例えばイベントで誰かの悩みを解決して幸せにすると、「めでたしめでたし」となり、それ以降はずっと感謝の言葉を述べられるだけになるのですが、私は救う過程を何度も見直したいんですよね……。小説や映画なら好きなシーン、見たいシーンを手軽にいつでも見れますが、ゲームはそうではないので。でも、ムジュラの3日間システムは、そんな(ニッチな)願いを叶えてくれます。
 これはキャラが関わるイベントだけではなくて、例えばダンジョンのボスともう一度戦うとか、何らかのイベントに成功した場合と失敗した場合を両方見るとか、ムジュラにしか出来ない楽しみ方が色々あります。大抵のゲームはイベント目標を達成できなかった場合はゲームオーバーになって成功するまでやり直すか、もうやり直すことができないか(成功パターンと失敗パターンを両方見るには2周しないとならない)になっているからです。そして、ちゃんとそれを前提として作り込まれているのが、私がムジュラを愛してやまないポイントなのです。
 ちなみに私が一番繰り返し参加したイベントは、「宇宙人の襲来」イベントです。これは単にシューティングゲームとして結構楽しいということもありますが、失敗(または不参加)するとあるキャラがアレなことになってしまうので放っておけなかったというのも大きいです。
 オタクは最初に見たループものを親だと思いこむと言われています。ループものは今でこそ日本のオタクコンテンツで大きな存在感を放っていますが、2000年の時点ではそこまでではなく、後世のループものの流行に先駆けた存在と言えるでしょう。

キャラの作り込みがすごい、全員がそれぞれの3日間を過ごしている

 映画『スターウォーズ』シリーズの登場人物は、たとえ一瞬映り込むだけのモブ的存在でもそれぞれ細かな人物設定がされているのをご存知ですか?*2
ムジュラの登場人物も、ほとんどの人が何かの背景やストーリー上の役割を持ち、場合によっては3日間の中で色んな場所に動き回ったりしています。ナべかま亭や牧場の人々はもちろん、いち早く月の異変に気付きシェルターとなる建物を探す人や、落下する月に怯えて家の奥に閉じこもる人、いつまでも帰ってこない家族を探しに行く人など、それほどストーリーに関わって来ない人でもそれぞれの3日間を過ごしています。そのため、3日間ある人物を追い回し続けるといった遊び方もできますし、それをサポートするためのアイテム「団員手帳」もあります。

サブイベントが豊富

 たくさんのキャラが様々に動き回っているので、当然それに付随して様々なイベントが用意されています。時オカに比べてハートのかけらが色んな所に配置されている(時オカが36個に対して、ムジュラは52個)ので、寄り道してサブイベントをこなしていくのも、ゲーム攻略上ちゃんと意味があります。また、クリア済みのイベントであっても、時を戻せば何度も遊べるのも嬉しいところ。

仮面で「変身」する

 ムジュラを特徴付けるシステムとして、3日間システムともう一つ大きなものに「仮面の力で別種族に変身できる」というものがあります。空中浮遊できるデクナッツ、地上を高速で走り回り高威力の攻撃が出来るゴロン、水中を自由に泳げるゾーラと3つの種族に変身することができます。ゼルダシリーズは、基本的には道具によって出来ることが増え、それによって今まで行けなかったところに行けたり新しい敵を倒せるようになるのですが、それを種族に拡張したのはゼルダシリーズでもあまりありません。(『トワイライトプリンセス』のウルフリンクくらい?)
 これは単に出来ることが変わるだけではなく、例えば通常リンクやデクナッツ状態では子供扱いされるがゴロンやゾーラでは大人扱いされたり、ゴロンとゾーラは生前の人物の知り合いとのイベントがあるなど、姿かたちが変わること自体がゲームに影響を与えます。
 「無念の死を遂げた魂を仮面に封じ込め、その力を借りて変身する」という設定も泣かせてくるポイントで、死者のやり残したことを達成してリンクが代わりに称賛されるシーンなどは、涙なしには見られません。



 ムジュラがいつ追加されるのかはまだ発表されていませんが、時オカもそれまでには終わってしまいそうなので、しばらくは首を長くして待ち続ける時間が続きそうです。
 みなさんも、機会がありましたら是非プレイしてみてください。

*1:普通の人は同じゲームを何周も遊ばないって本当ですか?

*2:パンフレットにはちゃんとモブキャラのプロフィールが書いてあります